マルタ・パルミエーリ

刻層 / STRATA

このたびKanda & Oliveiraでは、マルタ・パルミエーリの個展「刻層 / STRATA」を8月19日(水)から9月13日(日)まで開催いたします。

 

本展は2025年の夏に、千葉のいすみ市で行われているOPPESというアーティストインレジデンスプログラムでPalmieriさんの展示を拝見したことがきっかけで開催されることになりました。OPPESは美術家の濱名一憲さんが中心となり、「古い家と土地に息を吹き込む、創造と循環の場」を創り出し、世界中からアーティストが集う場となっています。なお、「おっぺす」とは千葉南部の方言で「押す」という動詞です。

 

レジデンスの周囲は一面稲穂が揺れる田園地帯で、鎮守の森が点在し、色褪せた鳥居の朱色がまるでジブリ映画の背景画のようです。一方で耕作放棄地やソーラーパネル、放置された廃屋など、現代の日本の農村が抱える問題もそこに存在しています。OPPESは忘れ去られた、棄てられたものに生命と意味を取り戻すプロジェクトとなっています。

 

Palmieri2024年から毎夏滞在し、土地のものを食べ、田んぼに入り、海で遊び、人々と語り合い、生活そのものが創作活動と一体化した夏を過ごしていました。信楽の土で、伝統的な紐づくり技法を用いて成形される作品は内側こそ素朴な質感を残しているものの、彫刻的に削られた外側は緊張感をもたらすエッジが際立ち、鉄や真鍮や磁土で描かれた文様は絵画のようであり、陶土の各層から釉薬のように垂れている金属は長い歴史で形成される地層から滲み出てくる水脈のようでもあります。指で叩くとまるで金属のように鳴る作品は楽器のようでもあります。惑星のような作品、断崖の縁のような作品やノアの方舟を彷彿とさせる作品など、人類と自然との関係性に対する内省がPalmieri作品のフォルムを形成しています。

 

また、本展ではPalmieriのドローイング作品も展覧します。紙の表面に含浸の痕跡を残すことで、色と物質を通じて時間の経過を際立たせています。紙に油を塗布し、花崗岩、カオリン、香辛料などの粉末を浸透させ、取り除き、また浸透させ、表面を研磨して制作するドローイングは、Palmieriの造形的探究の基盤となっています。

 

1973年にアドリア海に面するアンコーナで生まれたMarta Palmieriは、1997 年にウルビーノ美術アカデミーの彫刻科を卒業し、エドガルド・マンヌッチ彫刻賞を受賞して若き才能として頭角を現しました。現在はIAC(国際陶芸アカデミー)の会員であり、主に故郷アンコーナに住んで制作活動を行っていますが、彼女のキャリアは長年にわたり国境を越えて展開されてきました。ファエンツァ国際陶芸展にも数度参加しており、今年2026年にはファエンツァ国際陶芸美術館に作品が収蔵されました。また、ラトビアのマークロスコアートセンターにも作品が収蔵されており、ほかにも中国やポルトガル、スペインの美術館に作品が収蔵されています。

 

会期中、19日、29日、30日にアーティストが在廊予定です。

 

 

写真
村田昇

 

デザイン

木村雪絵

協力
濱名一憲、カルロ・アントネッリ、岡美里、株式会社マザーディクショナリー

2026年8月10日